男性保育士の転職事情

かつては「保母さん」と呼ばれていた保育士も、男性が進出する業界となっています。子どもが好きで保育に興味がある男性にはとても魅力的な業界であるのですが、実際に働くと多くの壁にぶつかり、転職を考えてしまうようです。

男性保育士が直面する保育の実態をお伝えするとともに、株式会社メディフェアへ転職した男性保育士の章人先生に伺った、転職ストーリーや保育のやりがいについてもご紹介します。

メディフェア章人先生に取材
男性保育士のやりがいとは

男性保育士の割合は?

厚生労働省が2017年に発表した「保育士等に関する関係資料※」によると、男性保育士の割合は6%(1万6480人)ほどに留まっています。まだまだ女性が多い業界ではありますが、同調査の過去の統計を見ると、2010年度の時点で7500人、2015年度の時点で1万1670人の男性保育士が在籍。以前まで圧倒的に女性の保育士が多かった職場に、だんだんと男性保育士が増えていることがわかります。

ほいくらぶのひとこと

女性が多い保育業界ですが、力が必要な場面は当然あります。保育施設によっては、行事などで男手が必要なときは父兄の力を借りているそうですが、日常の業務では自分でこなすしかありません。男性保育士が一人在籍しているだけで、力が必要な時はとても頼りになります。また防犯という面でも、男性がいてくれると安心ですね。

※参照元:保育士等に関する関係資料(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/s.1_3.pdf

男性保育士が転職を考える理由

男性保育士にとって保育業界は売り手市場。子どもが好きで保育に携わりたいと夢を描いて入社しても、多くの男性保育士が転職を考えるそうです。なぜでしょうか?

転職理由1:収入の低さ

平成27年賃金構造基本統計調査※によると、男性保育士の平均収入は3,462,900円となっています。女性保育士と比較すると、引く手あまたなだけあり、少し高い傾向。しかし、保育士業界は他業種と比べて昇給幅が小さいので、将来にわたってお給料が期待できないと感じる方が多いのではないでしょうか。特に男性は結婚して家庭をもち、子どもを育てることを考えると、その不安は大きいはずです。

※参照元:平成27年賃金構造基本統計調査(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2015/index.html

転職理由2:女性ばかりの環境

100人に6人程度の割合でしかいない男性保育士。同じ保育施設に男性保育士が何人も雇われる可能性は、非常に低いと考えられます。周りが女性ばかりの環境だと、悩みが相談しづらかったり、話題にも気を遣いますよね

また、女性保育士の派閥や陰口といった環境になかなか慣れることができず、精神的に疲れてしまうという男性保育士も。なかには、うつ病になってしまったり、ストレスで入院してしまった男性保育士もいるそうです。

保育業界全体で考えると、まだまだ男性のキャリアプランが想像しづらく、将来の自分が描けないという面もあります。目標が持てないのはとても辛いことですので、転職を考える男性保育士が多いのは仕方がないことなのかもしれません。

転職理由3:保護者の理解のなさ

男性保育士は、男性ならではの勢いや力強さなどがありますから、女性保育士にはできないプログラムや遊びを取り入れていくことができます。しかし、保護者の中には「娘の世話は同性にしてほしい」と、男性保育士への偏見を隠さない保護者もいるとのこと。もちろん、ごくまれなケースですが、こういったことが転職したいという心理に働いているようです。

男性保育士が保育施設で有利なこと

男性保育士が保育施設で有利なこととして、女性ではまかないきれない「力強さ」や「存在感」があります。担がれたりぶら下がったりする遊びが大好きな子どもがいたとして、女性の体力では対応するのに限界があります。

しかし、男性であれば女性よりも力や勢いを使った遊びを取り入れることができるため、子どもの人気を集めることができます。また、力仕事を積極的にこなすことができたり、園外保育では男児トイレの介助も。防犯面でも重宝される存在です。

保育業界で男性保育士が活躍できる場面はたくさんあります。せっかく保育士を志したのに、他業種へ転職してしまってはもったいないのでは?保育士という仕事を辞めるのではなく、あなたが働く保育施設を見直して、より良い保育施設へ転職することをお勧めします

ほいくらぶのひとこと

女性と男性保育士が揃っていることで、家庭で過ごすような保育を園児に対して行うことができ、シングルマザーの家庭の園児には父親のような存在として良い影響を与えると考えられます。共働きが増えたことで、父親が送り迎えをすることが多くなっていますから、父親側としても同性の保育士がいることは話しやすく安心できるのではないでしょうか。

【取材】男性保育士の章人先生にお話を聞きました

ほいくらぶは、株式会社メディフェアで働く男性保育士の章人先生に、メディフェアへ転職した理由や働きやすさについて伺いました。

保育士の夢は小学生から!保育を学びに海外へ

メディフェア佐々木先生
佐々木章人先生

―保育業界における男性保育士の割合は、2017年時点で6%とかなり少ない印象を受けます。章人先生は、なぜ保育士になりたいと考えたのでしょうか。

実は理由がなくて…。小学生の頃から「自分は保育士になるんだ」と、漠然と考えていました。その後も特に疑うことなく、保育を学べる4年制大学へ進学して、在学中に認可外保育所で保育補助として1年半働いて…という感じでしたね。でも、保育業界について知っていくうちに気付いたんです。保育士の収入は十分なものではないと。僕は、将来家庭を持ちたいと考えているし、そうなると家族を養えないなと思いました。

―保育士の収入は十分なものではないと知っても保育士を諦めなかった?

正直、大学在学中にこのまま保育士を目指すか迷いましたが、やっぱりずっと目指していた仕事なので。ただ、日本の保育所へ普通に就職するだけでは収入が増えないままなので、保育士としての価値を上げるために、大学卒業後に海外へ行きました。3か月くらい英語の勉強をしてから、オーストラリアとカナダ、ニュージーランドの保育所で4年間働きました。

海外で感じた日本の保育との違い

―海外で4年も働くとは、かなり思い切りましたね。実際に働いてみてどうでしたか。

日本の保育所の待遇とそこまで変わらないと思いますよ。ただ、定時には仕事を終わらせて、休暇をしっかりとることについては、海外の保育所の方が充実しています。あとは、子ども達の教育に対する考え方が少し違うかもしれません。日本だったら「ダメだよ」と、子どもの動きを制限するところ、海外の保育所は子どもの意志を尊重して自由に遊ばせています。

―国によって保育方針が違うのですね。なぜ日本へ戻ろうと考えたのでしょうか。

やっぱり日本人なので、日本の保育に貢献したいという気持ちがありました。年齢的にもうすぐ30歳を迎えるので、将来のことを考えてという理由もありますが…。海外の保育を見て回ってきましたが、衛生面などを考えると日本の保育所が一番良いと思いますよ。

子どもだけじゃない、保護者までサポートできるメディフェアへ転職

―世界の保育現場を見てきた章人先生が、海外からメディフェアへの転職を決めた理由は何でしょうか。

保育士として「担当している子ども達の家族まで支えたい」という僕の考えと、「子ども達だけでなく保護者までサポートする」というメディフェアの方針がマッチしたことが、一番の理由になります。また、「自分の時間を大切にできるか」ということも条件の一つとして考えていて。求人の内容どおり、しっかり休めるかは実際に働くまで不安でしたが、メディフェアへ転職してから、残業や持ち帰り仕事を経験したことはほとんどありません

―まさに理想の職場を見つけた!という感じですかね。

そうですね。男性保育士の友人が多いのですが、僕よりみんなの方が忙しそう。その割に、みんな僕のお給料を聞くと「そんなにもらえるの?!」と驚いていて、あまりお給料をもらえていないんだと思います。それからメディフェアは、他の保育所のように園長の意向によって厳しいルールが敷かれることもないので働きやすい。青木社長の考え方がとても柔軟だから、「やってみなよ」と現場に任せてくれます

目標を持つことが男性保育士のやりがいに繋がる

メディフェア近くの公園
保育所の近くには緑豊かな公園があります

―女性が多い職場で働きづらさを感じ、転職を考えている男性保育士の方は沢山いらっしゃると思います。今の職場が働きやすいと断言する章人先生と他の園の男性保育士の方では、何が違うのでしょうか。

目標を持っているか、持っていないかは、仕事を充実させるうえでとても大切だと思っています。目標さえあれば、男女関係なく与えられた環境で自分の強みを発揮できるのではないでしょうか。もちろん、目標を持つことだけでは、職場環境に対する不満を乗り越えられないでしょう。だからこそ、転職するなら求人情報をしっかりチェックしたほうが良いと思います。僕は、海外で経験を積んだのちに転職したのが、お給料も待遇も良いメディフェアなので本当にラッキーだと思うし、こういう保育の現場もあるんだといろんな方に知っていただきたいです。

―求人情報をしっかり確認することはもちろん大切。加えて、目標を持って働くことは、男女間のコミュニケーションを変えたり、保育士としての役割を見失わないことに繋がる気がしました。

はい。コミュニケーションをとるなら、男性同士の方が楽かもしれない。でも楽な方へ逃げずに、相手を知ることが大切ですよね。僕が働いている保育所は、僕以外みんな女性の保育士さんや子育て支援員さんですが、コミュニケーションを積極的にとりながら連携して保育をしています。子どもの成長を見届けるのが僕たちの役割でありやりがいですし、名前を呼んでくれたり、笑ってくれたり、そういうことが嬉しくて、保育士を続けていることは忘れてはいけないと思います。

―転職を考えている男性保育士の方には、ぜひ自分が保育士を目指したときの気持ちと目標を考えて、保育士を続けてほしいものです。章人先生、ありがとうございました!

ありがとうございました!

取材協力
メディフェアHP

引用元HP:株式会社メディフェア公式HP(http://medifare.jp/)

メディフェアは、長く働きづらいと思われている保育士の過酷な就業環境を改善するべく、さまざまな面を見直すことで待遇を良くし、保育士の皆さんが楽しく働くことのできる環境を目指しています。

  • 年収例:413万円~
  • 賞与年2回、月給の3.9~5カ月分支給
  • 週休2日制、有給休暇(6ヵ月継続勤務後10日付与)
  • 東京都・長崎県を中心に全国各地で保育所を展開

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