人材不足に悩まされている保育業界。これからますます求められる仕事だからこそ、国や各自治体も必死になって人材確保のために待遇改善を行っています。そのひとつが「家賃補助」。具体的にどのような制度なのか調査するとともに、実際に家賃補助を受けている株式会社メディフェアの保育士前沢愛先生にもお話を伺ってみました。
「家賃補助制度(宿舎借り上げ制度)」は、2016年にスタートしました。保育園などの該当施設に、採用後5年以内の保育従事職員(常勤に限る)を対象としていた家賃補助制度ですが、2017年から採用後10年以内と範囲が拡大。家賃補助制度は、国・都と区市町村、そして事業者が補助を出し合うことで負担を分け合っています。
基本的には国・都が4分の3、区市町村が8分の1、事業者が8分の1の負担(上限82,000円)としていますが、より人材を確保したい自治体が上乗せして補助を出していることもあるため、自治体によって家賃補助制度の内容が多少異なります。
保育士の家賃補助制度をいち早く取り入れたのは世田谷区ですが、2021年3月までの一時的な制度としているため、徐々に縮小する可能性は否めません。
上記で説明したとおり、全国的に人材不足の保育士をより確保したいという気持ちから、家賃補助の金額や内容は各自治体で異なります。どれほど内容が異なるのか、自治体ごとにご紹介しましょう。
千代田区:13万円 | 最も家賃補助額が大きいのは千代田区。金額の上限を13万円/月に設定しています。ただし、区外に住む場合の家賃補助額は82,000円。対象施設は、認可保育園、認定こども園、認証保育園、小規模保育事業等です。 |
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港区:11万2,000円 | 千代田区に続いて家賃補助額が大きいのは、港区の11万2,000円。ただし、区外に住む場合の家賃補助額は82,000円となります。対象施設は、私立認可保育園、認定こども園、認証保育所、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業です。 |
渋谷区:10万円 | 渋谷区の家賃補助額は10万円。区外に住む場合は家賃補助が対象外となり、区内に住む場合は家賃補助だけでなく、15万円の転居補助もあります。対象施設は、私立認可保育所、認定こども園、認証保育所、小規模保育事業所です。 |
目黒区:9万2,000円 | 目黒区の家賃補助額は9万2,000円です。区外に住む場合の家賃補助額は82,000円。対象施設は、認可保育所、認定こども園、認証保育所、小規模保育事業等です。 |
※参照元:保育士上京ガイド 2018年の情報を参照(https://hoiku-jokyo.com/area/ranking.html)
ご紹介した区以外の市区町村は、基本的に82,000円の家賃補助を設けています。自治体によっては、お給料に家賃補助をプラスしたり、修学資金貸付をしたり、給付金をだすなど様々な努力をしています。気になる方は、就職を希望する自治体の保育への待遇を調べてみるとよいでしょう。
注意点として、家賃補助制度はあくまで施設(保育園など)を通しての補助であるため、施設によって規定を設けている可能性があります。必ずしも、すべての保育施設で家賃補助制度を設けているわけではないので、転職を検討している保育士の方は、事前に確認をするようにしましょう。
ほいくらぶは、保育のリアルな現場について知るべく、株式会社メディフェアで働く保育士の前沢愛先生に取材を敢行。家賃補助のほか福利厚生をどのように活用しているのか、メディフェアへの転職ストーリーとともに詳しくお話を伺いました。
―愛先生は、学校を卒業してからどのような保育園に就職したのでしょうか。
私が最初に勤めたのは、無認可の保育園です。13人の子ども達を、園長先生、パートさん、私の3人で見ていました。土日は必ずお休みで、勤務時間も8:00~18:30と、メディフェアとあまり変わらないですね。
―しっかりお休みをとれている印象ですが…。なぜ最初の保育園を辞めてしまったのでしょうか。
教育方針がちょっと合わなくて…。すごく勉強熱心な保育園で、「一日に何ページ読んできなさい」って教材を渡すんです。子ども達に。もちろん、子ども達の成長のために早い段階で学びを与えることは良いことだと思うのですが、私はもっと子ども達一人ひとりと関わって成長を見届けたかったので。結局、最初の保育園は2年くらい勤めて辞めてしまいました。
―最初の保育園を辞めた後、メディフェアへ就職を?
いえ、実は保育士を辞めて一度アパレルに就職しています。アパレルって言っても、結局子ども服のお店に就職したんですよ(笑)。どこかで「子どもが好き、子どもに関わりたい」って気持ちがあったんでしょうね。そんな気持ちを持ち続けていたから、アパレルを辞めて、また保育士の道に進もうって思えたのかもしれません。
―メディフェアとはどのようにして出会ったのでしょうか。
ハローワークで就職先を探していたとき、これから新しく設置する保育所で保育士の募集があって。「新しい保育所なら人間関係が楽そうで良いな」と思い応募したのですが、その保育所を運営しているのがメディフェアだったんです。メディフェアの求人を見てびっくりしたのはお給料。保育士ってこんなにお給料をもらって良いんだって、認められた気持ちになりました。
―実際にメディフェアの保育所に勤めてみて、以前働いていた保育所とは違うと感じることはありますか。
まず賞与がしっかり出ます。以前の職場ではほとんど出ていなかったので、嬉しいですね。あとは休日出勤がありません。一番驚いたのは、保育士の評価制度。一年間の働きを評価していただけるのですが、頑張りをしっかり評価してもらうとやる気がでるし、すごく大切なことだなと思いました。
―お給料とお休みをしっかりもらえる職場は、保育士さんにとって理想的ですね。プライベートな時間は確保できていますか。
はい、まず家賃補助がでるおかげで、少し家賃は上がりましたが職場の近くへ引っ越すことができました。出勤時間を大幅に短縮でき、とてもありがたいですね。それから、延長保育はあっても持ち帰り仕事がないので、ある程度決まった時間に帰ることができています。アパレル時代は22時に帰宅するのが当たり前でしたが、今は19時頃には帰宅して、大好きな料理作りでストレスを発散しています。
―アパレルを辞めて再び保育士として職場を探す際に、保育所の人間関係を気にされていましたが、実際に働いてみてどうでしたか。
今私が勤めている保育所は私以外全員パートさんですが、パートさんはみんな10年近く保育を担当されてきたベテランさんなので本当に心強いです。私、へこみやすいというか、ちょっとしたことでも悩んでしまうのですが、ベテランのパートさんから沢山勉強させてもらっています。
―今日(取材当日)は愛先生とパートさんで1人のお子さんを担当されているんですね。
はい、とってもVIP待遇ですよね(笑)小規模保育所だと距離が近いので、しっかり向き合って保育ができているなと感じます。以前、私が保育所ですごく落ち込んでいたとき、気づいたのか園児が私の目をじっと見つめて、ギュッと抱きしめてくれたことがあって。子どもは感情がわかるのかな。そういうことがあると、一人ひとりと関われる保育所っていいなと思いますよね。
―愛先生がメディフェアへ転職して、いきいきと働いているのが伝わってきました。家賃補助をはじめとしたメディフェアの待遇が、仕事とプライベートを充実させることに繋がっているのであれば、ほいくらぶとしてはメディフェアと同じような待遇を用意している保育施設が増えたらいいなと感じます。今日はお話を聞かせていただいてありがとうございました。
ありがとうございました!
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引用元HP:株式会社メディフェア公式HP(http://medifare.jp/)
メディフェアは、長く働きづらいと思われている保育士の過酷な就業環境を改善するべく、さまざまな面を見直すことで待遇を良くし、保育士の皆さんが楽しく働くことのできる環境を目指しています。