子どもの成長を見守る保育士は、とてもやりがいのある仕事です。しかし、小さな命を預かる仕事であるにもかかわらず、「お給料が安い仕事」と聞いたことはないでしょうか。事実、本当にお給料は安いのか、ほいくらぶは100名の保育士にアンケートを取りました。(※独自アンケート期間2019/4/15~2019/4/30)
まずは、独自アンケートで集まった保育士の声をご紹介します。(※あくまで個人の感想です)
認可私立保育園で働いて15年。お給料は手取りで17万円しかもらえません。業務内容が楽なわけでもなく、土曜出勤もありますし、保護者への対応などが大変です。イベント前になると帰宅は日をまたぐこともあります…。
地方だからかもしれませんが、手取りで13万円という低さ。ボーナスは心づけ程度しかもらえないのに残業があって、仕事も多いです。事務職以上はお給料もらいたいですね。でないと、なかなかやる気がでません。体もつらいし、辞めてしまおうかと考え中です。
もう辞めてしまいましたが、かつて働いていたときは8年目でも手取り18万円でした。実家にいて独身であれば問題ないかもしれませんが、復帰を考えると労働と収入のバランスが悪いな~と感じます。25万円はもらってもいいと思います。
保育士として働いていたのは10年前になりますが、勤続9年で16万円程度の手取りでした。周りの人は保育士を「子どもと遊んで昼寝しているだけで良いお給料をもらっている」と勘違いしている人も多く…。実際は体力勝負の仕事で、イベント時は準備で遅くまで働くことも多いハードな仕事です。
公立の保育園は給料や待遇が良いと思われていますが、地域によって全然違います。私も公務員の保育士ですが、10年目にして手取り18万円。時間外の仕事に残業代がつくことはありません。
保育士のお給料ですが、年齢や勤務年数、性別によって異なります。平均的なお給料について調べてみました。
男女合わせた平均年齢は34.8歳。勤務年数は7.6年となっており、お給料(手当込み)は2,161,000円となっています。幼稚園教諭であれば、32.4歳、7.8年勤務で2,314,000円。保育士の方が、幼稚園教諭より若干低いお給料であることがわかります。今回のアンケート調査で、保育士のお給料は上がりづらいという口コミが多く集まりました。
保育士のお給料を時給換算した場合、5年勤務/45歳の保育士で時給980円となりました。業務内容が似ている幼稚園教諭ですと、5~7年勤務/44.3歳で1,046円。お給料が低いと言われている福祉施設介護員でも、4年勤務/49.2歳で1,043円と、1,000円を下らない状況です。
もちろん、すべての保育園がお給料に対して対策を講じてないわけではありません。今回、取材を依頼した株式会社メディフェアでは、「頑張った分だけありがとうの対価を出すのは当たり前」と考え、正当な評価で賞与を手厚くするするなど、保育士にとってより良い環境を整えようと日々努めています。具体的にどのような恩恵を受けることができているのか、メディフェアの保育士さんにお話を伺ってみました。
保育士の賞与や残業代の現状はどうでしょうか?アンケートを集計した結果をご紹介します。
賞与に関しては、3ヶ月分または4ヶ月分支給されている人が23.6%と同じ割合となりました。合わせると47.2%ですので、全体の半数程度は残業代をもらえているようです。しかし、全体の17%は残業代を全くもらえておらず、7.5%は1ヶ月分ももらえていないと回答。保育園によって待遇に大きな違いがあるようです。
残業代に関して、しっかり残業代がもらえていると回答したのは17.9%のみとなりました。少なくても残業代が出ている保育士は、全体の37.7%。残業代を全くもらえていないと回答した保育士が、27.4%と全体の4分の1を上回っています。残業自体がないと回答した保育士は17%。朝早くから体を動かす保育士にとって残業がないのは、理想的ですよね。
保育士と正社員で一般職女性の平成28年度の平均年収を比較すると、保育士は約324万円に対し、一般職女性は約373万円で、50万円もの差があることが判明しました。月収で考えると、保育士の給与は4万円以上安いのです。
保育士は子どもの命を預かる大変な仕事です。残業があり、週休二日制でない保育園もまだまだ多いのが現状。それにも関わらず、このように一般職の女性より収入が低いのは納得がいかない保育士も多いと言えるでしょう。
都道府県などの地方自治体によって、物価や人口密集率(保育士需要)などに差があります。そのため、必然的に物価が高く保育士へのニーズが高い地域ほど、給与相場が高くなり自治体による福祉関連への取り組みも手厚くなります。また、独自の補助金制度などにより保育士の給与も高くなりやすいという傾向があります。
市町村などによって給与から天引きされる地方税の額も異なるので、住んでいるエリアによっては毎月の手取りに差が生じてしまうこともあります。
当然ながら、物価が高い地域では支出も多くなるため、必ずしも給与の高さが生活水準の高さに直結するとは限りませんが、それでも平均賃金や最低賃金の差が保育士の給料や満足度へ大きく影響することは確かです。
公立の幼稚園や保育園に勤務している保育士は、基本的に市町村へ採用されている地方公務員として扱われます。そのため、年齢によって給料がアップしていく定期昇給制度が適用されるので、仮に新卒で保育士として採用されてから辞めずに働き続けている人同士を比べた場合、年齢の高い人ほど給与も高くなる仕組みになっています。
ただし、私立の場合は昇給や賞与に関する取り決めも雇用契約にもとづくため、必ずしも年齢の差が給与差につながるとは限りません。
新人保育士と主任保育士や園長では、役職や立場としての責任や業務に差があり、給与の額も変わって当然です。しかし、一方で保育士は係長・課長・部長といった段階的な肩書きがなく、役職による出世や昇給が難しいという側面もあります。
そこで、保育士の給与待遇を改善して保育士を目指す人を増やそうと、国は平成25年から公的補助金制度として「処遇改善制度」をスタートさせています。その一環として副主任保育士や中核リーダー、職務分野別リーダーといった新たな役職が認められるようになりました。
これらの役職に就いている保育士が在籍している保育園に対しては、条件や人数に応じて国から補助金が交付されるため、保育士の基本給に加算して追加給与が支払われるようになっています。
ただし、処遇改善制度による補助金は、国から保育士個人へ支払われるのでなく、あくまでもその保育士を雇用している保育園などへ支払われるため、どのような給与配分になるのかは施設によって差が生じてしまう可能性もあります。
また、2019年12月には会計検査院の調査結果によって、適正な賃金の上乗せがされていないケースが全国で多数発生しているという実態が明らかにされており、行政が厳しく管理していく必要性が求められたことも事実です。
※参照元:日本経済新聞「保育士の賃金加算7億円使われず? 会計検査院指摘」(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53652990R21C19A2CR0000/)
上述したように、保育士は公立の施設へ勤務しているか、私立の施設へ勤務しているかで、労働者としての取り扱いがことなります。前者であれば地方公務員として福利厚生が一律保障されており、後者であれば運営者や雇用者との間で締結されている労働契約に従って給料が支払われます。
そのため、少子化が加速している昨今は、一般的に公立の保育園などに勤務している人の方が、給与が安定して高いといったケースが少なくないようです。
ただし、私立幼稚園などの中には少子化の時代でも入園希望者が数多くいるところもあり、そのような環境であれば私立の保育士の方が給与も高くなる可能性はあります。
正職員の保育士として働いている人と、パート・アルバイトとして雇用されている保育士であれば、勤務時間や福利厚生などに差が生じるため得られる給与額も変動します。
同一労働同一賃金の原則は、あくまでも業務内容に応じて生じる賃金格差を是正するためのものであり、同じ職場の保育士だからといって勤務時間に差があれば、給料にも差が生じることが当然です。また、正社員であれば福利厚生として諸手当が非正規職員より充実しているケースもあるでしょう。
ただし処遇改善制度のように、正規職員やパート職員といった雇用形態にかかわらず一律で認められている公的補助金制度もあります。
保育士の資格を持っている人が働ける環境や職場は様々です。一般的な保育園や幼稚園で働くだけでなく、企業の従業員の子どもを世話する企業内保育や、病院内保育所で働く保育士、その他にも顧客サービスとして企業に雇用されている保育士もいます。
そのため、同じ保育士であっても職種や職場が異なることで、給与に大きな差が生じる場合もあります。
それでは、雇用形態別に保育士の年収について見ていきましょう。まず、保育士の平成26年度の平均年収は以下の通りです。
フルタイムやパートタイムで勤務する契約職員含め、200万円から300万円未満の年収を得ている保育士が一番多いです。また、7.3%の正規職員の年収は100~200万円未満となっており、400万円以上の年収を得ている正規職員は、たったの4.1%となっています。
保育士の給与や賞与に対する満足度はどのような調査結果になっているのか、解説していきます。
正規職員や、フルタイムで勤務している契約職員よりも、パートタイムで働いている保育士の方が、収入に対する満足度が高いです。正規職員の7.8%、契約社員(フルタイム)の6.8%が年収に満足しているのに対し、パートタイム勤務の保育士は20.4%。
また、正規職員の20.7%、フルタイム契約社員の14.6%が年収に対して非常に不満に思っているのに対し、パートタイム勤務では5.9%でした。
実は同じ保育士でも、公立保育園で勤務する公務員保育士と民間の保育園で勤務する保育士では、給与事情がまったく異なっていることをご存知でしょうか。
民間の保育園で勤務する保育士より、公務員保育士は給与が高く、比較的安定しています。例えば、東京練馬の公務員保育士の平均給与は約682万円です。
それではなぜ民間の保育士は給与が低いのか、その理由について詳しく解説していきます。
民間の保育園に勤める保育士の給与を決めるのは、保育園の運営会社です。民間保育園の運営費は、保育料と公費が収入源になっており、この二つの収入から運営費を差し引き、残りが保育士の給与となります。
しかし、認可外保育園や認証保育園以外の民間保育園では、収入を保育園側が決めることができません。したがって、給食代や必要経費を収益から確保すると、わずかな人件費しか残らないのです。
保育士の所得の改善を行うために、保育料をあげる必要があります。しかし今現在、民間給与は減少傾向にありますので、保育料あげることはなかなか難しいです。
私立の認可保育園に勤める保育士は、保護者が支払う保育料と国からの補助金より給料が支払われています。
しかし、認可外の私立保育園に関しては、一般的に国からの補助金の支給がありません。したがって、保育士の給与の出どころは保育料のみとなっており、認可保育園と比べると、認可外保育園の給与事情はより厳しい状況です。
保育士の給与を上げるために補助金を増やすことができれば良いのですが、補助金は税金から捻出されています。よって、補助金を増額することは難しく、保育士の収入をアップさせることが困難になっている状況です。
そもそも幼児教育・保育無償化は、保育士の待遇改善と同様に国による子育て支援の一環であり、財源は消費増税によって確保されています。また、同じく保育士への補助金なども消費税が財源となっており、幼児教育・保育無償化のために保育士への給料や補助金がカットされることはありません。
ただし、無償化による保育士需要の高まりによって、同じ給料でも仕事の量が増えるといった懸念はあります。
※参照元:財務省広報紙「ファイナンス」2014年5月号(https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/other/pdf/7880.pdf)
例えば正規雇用の保育士でも時短勤務をしている人や、非正規職員であれば、フルタイム労働に切り替えたり正社員への採用を目指したりすることで、給料を上げられる可能性があります。
ただし、いきなり正規雇用の道を探すことは難しく、また仕事を優先してライフワークバランスが崩れないように注意することも大切であり、さらに家族の理解や協力を得られるかどうかも重要なポイントです。
保育士の処遇改善制度によって、園長や主任といった役職の他にも、勤続年数や研修の修了に応じて役職を得られる仕組みが定められました。
そのため、地方自治体が主催するキャリアアップ研修へ積極的に参加して、保育士としての経験を積むことで、給料アップを自ら目指すことが可能です。
そもそも給料が安かったり、適切に処遇改善制度の補助金を分配していなかったりする職場ならば、きちんと保育士の待遇について考えていて、給料も仕事に見合った額を支払ってくれる職場へ転職することも1つの方法です。
さて、ここまでは保育士の収入に関してのネガティブな話をしてきましたが、ここからは保育士の給与についての朗報をお伝えしますね。
実は国は補助金を増額することを決定しました。よって、今後補助金の支給額がアップする見込みです。補助金が上がることでその分運営費も増えますので、その結果保育士の収入も増加することが予測されます。
したがって、保育士の仕事は給与面においても将来性があると言えますので、給料が安いことから保育士として勤務し続けることに悩んでいる方も、保育士の資格を活かせるより良い環境を探し、ご自分のライフワークとしてみてはいかがでしょう。
令和元年12月10日に開催された政府の「子ども・子育て会議」では、平成27年度の「子ども・子育て支援新制度」の施行から5年を迎えて、保育士の待遇などを含めた法律内容の再検討が行われました。
そしてそこでは処遇改善制度の維持の他にも、夜間保育や休日保育に関連した支援制度の拡充などが提案されており、今後も国の政策によって保育士の給与待遇が改善していく可能性はあると考えてかまわないでしょう。
※参照元:内閣府 子ども・子育て本部「平成30年度子ども・子育て支援新制度市町村向けセミナー資料」(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/administer/setsumeikai/h300820/pdf/s1-1.pdf)
※参照元:厚生労働省子ども家庭局(令和2年1月17日)「全国厚生労働関係部局長会議」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2020/01/dl/4_kodomo-01.pdf)
※参照元:内閣府「参考資料2 」(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kodomo_kosodate/kijun_34/pdf/ref2.pdf)
今現在、保育士の給与は残念ながら他の職業と比べると低い傾向にあります。しかし、実はは2014年以降より保育士の月給は右肩上がりであることをご存知ですか?
保育士の平均年収データによりますと、2013年と2017年の平均年収では、2017年のほうが32万3,300円も増えているのです。
それではここからは、平均年収データに基づき、女性保育士と男性保育士のそれぞれの平均年収推移について解説していきます。
女性保育士の平均年収は、2010年の頃は約323万1千円であったにも関わらず、2013年には約309万1千円と、14万円の減額。しかし、2014年から少しずつ年収は増額していき、2017年には339万6千円となっており、2013年と比較すると、約30万円も年収がアップしています。
男性保育士の平均年収を見ていきますと、2011年の平均年収は381万7千円であったのに対し、2013年には323万円4千円と約60万円減額していました。
ところが女性保育士の年収推移と同様に、男性保育士の年収も年々増加傾向にあり、2017年では377万2千円となっています。
このように年収は徐々に増加しており、数年以内には2011年の平均年収額に戻る、もしくは2011年の年収を上回る可能性も十分にあるといえるのではないでしょうか。
保育士を辞める原因の半分を占めているのが、お給料への不満。労働に対して収入が見合っていないと感じる保育士が多いようです。しかし、それは「保育士」だからなのでしょうか?勤める保育園を変えることで、収入が改善する場合もあります。
企業主導型保育所、認可外の事業所内保育所を運営している株式会社メディフェアでは、福利厚生を充実させるとともに、正当な評価でお給料に頑張りを反映しています。
また、メディフェアではサービス残業や持ち帰りの仕事は一切禁止。延長保育の都合で、残業ゼロを必ず約束できるとはいかないかもしれませんが、持ち帰り仕事が発生しないよう、保育士同士助け合って仕事をうまく振り分け、激務薄給と言われる保育士業界の就業環境を改善していこうと努力しています。実際にメディフェアに努めている保育士さんに、残業ルールや職場の雰囲気について伺いました。
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引用元HP:株式会社メディフェア公式HP(http://medifare.jp/)
メディフェアは、長く働きづらいと思われている保育士の過酷な就業環境を改善するべく、さまざまな面を見直すことで待遇を良くし、保育士の皆さんが楽しく働くことのできる環境を目指しています。