女性の社会進出を後押しする「企業内保育所」とはどのようなものなのか、現状とこれからについて具体的に解説します。
女性の社会進出が進み、共働きの家庭が増えていることから保育園・保育所の利用が増えています。しかし、保育所の数や受け入れ人数が足りず、待機児童が問題化するようになりました。待機児童は2010年から一度減少傾向にありましたが、2014年から再び増加傾向にあります※1。
解決に向けた取り組みの一環として、政府は2016年から企業主導型保育事業をスタート。企業や施設に保育所を設置・隣接することで、待機児童の受け皿が増えました。女性の就業率を上げたい政府としては、今後もさらに企業内保育所を増やしていきたい考えです。
しかし、2019年3月時点のデータでは、企業内保育所を設置している企業が全体の1.6%にとどまることがわかりました※2。「保育士の確保」が難しいことを理由に、企業内保育所の設置が十分に進んでいないのが現状です。
需要が高まっているにも関わらず、保育士が足りないことから設置が進んでいない企業内保育所。裏を返せば、保育士がそれだけ必要とされているということです。保育士が輝けるのは、認可保育所だけではありません。社会のために保育士ができることは沢山あります。
※1参照元:厚生労働省「保育をめぐる現状」(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/02siryou.pdf)
※2参照元:東京商工リサーチ「事業所内保育所」設置に関するアンケート調査、企業の 98.4%が事業所内保育所を未設置(http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190329_02.html)
企業内保育所を設置している企業についてご紹介します。
ころころ保育園を2008年に開設。定員が120名なので、都内でも大規模に分類される事業所内保育施設ではないでしょうか。広い園庭も用意されています。社員が働きやすいように、開所時間は7時半から18時半。企業内保育所のおかげで女性の職場復職率が9割(※)となり、企業への評価も高くなったそうです。
※2014年時点で公表された過去3年間の取得率と復帰率。(参照元: 株式会社ブリヂストン公式HP https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2014100101.html)
2017年4月、新オフィスにみどりの保育園を設置しました。社員の平均年齢が34歳という若い会社だけあり、ライフスタイルの変化によって退職者が増えないよう、早々に企業内保育の設置に対応。保育士から保護者へのやり取りはLINEを使用し、日々の様子をスピーディーに伝えています。
2014年に「どわんご保育園」を開園しています。元々、社内リラクゼーションサロンや社内カフェなど、社員がリラックスをしながらも能力を発揮して仕事ができるよう、社内環境の整備に力を入れてきたドワンゴ。働き続けたいのになかなか仕事に復帰ができないという女性社員の声を受けて、企業内保育所の設置に至りました。
企業内保育所を運営している株式会社メディフェアの保育士に、企業内保育所の働きやすさを聞きました。メディフェアでは、2011年の創業以来、ライフイベントによる保育士の離職率がほぼ0%。「仕事をやめたい…」と考える保育士が多いなか、メディフェアでは保育士が抱える悩みや不満に応えられるよう、日々待遇改善に向けて取り組みを行っています。
一般的な保育園とメディフェアの企業内保育所では、働き方にどのような違いがあるのか、ぜひ保育士のホンネに注目してみてください。
共働きの夫婦が増えていることにより、これからますます女性の社会進出は進んでいくと考えられます。働く女性が増えれば、それだけ預け先の必要な子どもが増えますので、保育所はより必要とされる存在になることでしょう。企業内保育所の有無によって就職先を選ぶ、なんてこともそう遠くはない話です。
企業内保育所では、人材確保が急務となってます。「保育士を辞めたい」と考えてる方は、一度、「自分が必要とされている場所は沢山ある」ということを考えてみてください。せっかく手にした保育士という仕事を手放してしまうのではなく、新しい保育の現場を探してみてはいかがでしょうか。